テーマ:短編

ああとにあつく!ぷかぷか(12)(文学シリーズ短編その4) 終章(5)

 ぷかぷか(12)(文学シリーズ短編その4) 終章(5)  叔母ちゃんはあん娘のことを、必ず、彼女と言った。  「彼女はこの歌がぴったりだと思うんだけど」と皆が昼飯を始めるころ、1枚のレコードジャケットと携帯用のプレーヤーを取り出した。見ると、唄歌いの大男の「踊り子ルイーズ」というレコードであった。レコードは、彼だけではな…
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ああとにあつく!ぷかぷか(11)(文学シリーズ短編その4) 終章(4)

 ぷかぷか(11)(文学シリーズ短編その4) 終章(4)  叔母ちゃんが云った。謙虚で控えめな要望であった。私は、なんの異存もなかった。なにしろ私の知る限り、叔母ちゃんのこのよううな申し出は初めてのことであったからだ。  「もし、墓参りに行くのであれば、私も行きたいわ」 そうかと思った。中小企業のわが社も臨時休業を…
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ああとにあつく!ぷかぷか(10)(文学シリーズ短編その4) 終章(3)

 ぷかぷか(10)(文学シリーズ短編その4) 終章(3)  お兄ちゃんがN展に入選したのだった。国立美大の先生がN展の理事だという事を聞いたことはあった。また、最近の彼の様子が少し変であった。視線が宙に飛んでいることもあった。  テンペラ油の匂いがして頭の毛が逆立っている事が多かった。私は、集中して油絵を描いているなと感じて…
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ああとにあつく!ぷかぷか(9)(文学シリーズ短編その4) 終章(2)

 ぷかぷか(9)(文学シリーズ短編その4) 終章(2)  「一緒に死ななくていいよ、ありがとう」、と今際のとき、奥さんは、あの大男に云ったそうだ。理由はよくわからないのだが、おそらく、優しそうな大男への想いと併せてか、その言葉を知って暫くしてから涙が出た。お局も一緒に泣いてくれた。勿論、奥さんのことなどは二人は知らなかった。 …
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ああとにあつく!ぷかぷか(8)(文学シリーズ短編その4) 終章(1)

 ぷかぷか(8)(文学シリーズ短編その4) 終章(1)  東京の吉祥寺から帰った後は、当時、忙しく、お兄ちゃんと私とお局の三人で現場をこなしていて、時には、何か気になることもあったが構ってはいられなかった。叔母ちゃんも大阪や東京のなじみの工務店や左官屋などを手配し、芸術家の卵には、三人が指定したレプリカを作成させ、例によって、来店…
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ああとにあつく!ぷかぷか(7)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(2)

 ぷかぷか(7)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(2)  あん娘(こ)には何か欠けているものがあるのだ。すなわち、売れるとは、普遍的に人の心を捉えるものを持っているのかどうかなのだ。つまり、ポピュラリテイーを持っているのかどうかなのだ。選ばれた人々を納得さることも必要だが、併せて大衆を如何に掴かむかなのだ。…
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ああとにあつく!ぷかぷか(6)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(1)

 ぷかぷか(6)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(1)   「さっきの唄はリリースしてるの」と聞いた。目を見開いて、あん娘(こ)は悲しそうに黙って頷いたのだった。それを見て、余り売れていないのだ、と私は考えた。    「上手いけど、時代にあってないよ。ブレイクはしないよ。」残酷だが、そう云った。当時の、…
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ぷかぷか(5)(文学シリーズ短編その4)第2章 事務所でのこと(3) 

   ぷかぷか(5)(文学シリーズ短編その4)        第2章 事務所でのこと(3)    「あっ、それにあの娘(こ)から、事務所への差し入れもあったのよ」とお局が云った。見ると当時としては珍しい、ナポレオンのブランデーであった。それで叔母ちゃんの笑顔が理解できたのだ。  始めて、これも、当時としては珍しいバドワイザー…
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ぷかぷか(4)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(2)

   ぷかぷか(4)(文学シリーズ短編その4)       第2章 事務所でのこと(2) 私がクライアントの訪問から帰ると、お局が云った。  「あの娘(こ)、やって来たわ、事務所の中を勝手に歩きまわり、設計図などを引っぱりだし、面白い娘ね、これを残していったわ」と、私のスケッチブックを開いて示した。叔母ちゃんが、にやりと…
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ぷかぷか(3)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(1)

ぷかぷか(3)(文学シリーズ短編その4)     第2章 事務所でのこと(1)   「どうしたの、余程、昨夜は頑張ったのね」とお局が、機嫌の悪いときにするのだが、私の顔を見ずに言うのだった。   彼女は、昨夜のクライアントの接待は知っている。お局はこの事務所の功労者でもあり、私は弱いのだ。彼女は私に、いつもとは違う何かを感じた…
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ぷかぷか(2)(文学シリーズ短編その4) 

   ぷかぷか(2)(文学シリーズ短編その4)      序章 あの娘(むすめ)のこと(2)  「いつもパンティーは穿かないの」背広を小さなソファーセットの椅子に投げ捨てながら聞いた。娘はそれをを取り上げ、クローゼットの中に掛けた。クローゼットの扉の裏の鏡で髪の乱れを直しながら、   「あらいやだ、見えたのね」と言った。初…
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ああとにあつく!ぷかぷか(1)(文学シリーズ短編その4)

ぷかぷか(1)(文学シリーズ短編その4)  序章 あの娘(むすめ)のこと(1)  クライアントを接待して、機嫌よく酔っていたときの夜であった。クライアントの知ったクラブからの帰りで、チケットと共に彼をタクシーに押し込んだ後、ホテル街に迷い込んだ。そして、しゃがみ込んで煙草をすっているあの娘に出合ったのだ。   ブーツを…
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ああとにあつく! 林の中で(3)(文学シリーズ 短編その2)

   林の中で(3)(文学シリーズ 短編その2)      第3章(転・結章)  そして、若かった私が、母親に仮想していた、あの美しい婦人と同様に、今では、私も、初老の域に達した。私をデッサンに誘った友人は、再び、油絵を描いている。私はと言えば、描いていないのだ。写生会に誘われたが忙しいと断ったこともあった。  何故か、…
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ああとにあつく! 林の中で(2)(文学シリーズ 短編その2)

  林の中で(2)(文学シリーズ 短編その2)  駅の改札口までの階段を駆け下り、4、5人を追い越した。 「さあ、明日は日曜日だ。帰りに油絵の道具を買おう」と考えていた。  絵の具、筆、それから、イーゼルとキャンバス、何号がどのくらいの大きさか解らない。店で見て、聞いたら良い、と考えた。  工場の門の手前で、「お父…
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ああとにあつく! 林の中で(1)(文学シリーズ 短編)

   林の中で(1)(文学シリーズ 短編)  第1章  いつもの通勤風景の一つである。私は、電車の窓から、公園の例の場所が良く見えるように、足を踏み変えて、邪魔になっていた知らない乗客の肩を視線から除いた。  そのとき、斜め前に座っているいつもの上品な初老の夫人が、動かした私の足もとに視線を流したことも確認した。公園の…
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ああtろにあつく! 茂みの中で(3)(文学シリーズ 短編)

   茂みの中で(3)(文学シリーズ 短編)  その行為が終わったとき、彼女は、自身のパンテイーで、私のものをぬぐってくれたのだ。その後、私は、腰を浮かして、ズボンを引き上げた。  大人の男女の場合は、成り行きでこうなることも可能なのである。彼女は「不思議ね」と言ったが、互いに心を満たすものがあれば、それは可能なのだ。 …
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ああとであつく! 茂みの中で(2)(文学シリーズ 短編)

    茂みの中で(2)(文学シリーズ 短編)  目くるめく官能の喜びの後だ。私は、腰部を丸出しにして上向きに横たわっており、彼女は私の横に、バラのようなフリルのある赤いブラウスを着て、白いギャザーの絹らしいスカートの中で、正座していた。  クローバーの褥であった。敷いた新聞紙の外には、カジュアルな赤のエナメルのパンプスが揃…
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ああとにあつく! 茂みの中で(1)(文学シリーズ 短編)

   茂みの中で(1)(文学シリーズ 短編)  大阪城公園を二ヶ月に1回散策する。大阪城公園にはJR大阪駅から環状線に乗り、「大阪城公園駅」で下りれば、そのものだが、私は、次の、森ノ宮駅で降りる。  ついこの間まで、私もそうであったが、勤め人達の群れの間に紛れ込み、病院で検診を受けるため通うのだ。「大阪城公園駅」は公園の整備…
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