ああとにあつく!ぷかぷか(12)(文学シリーズ短編その4) 終章(5) ぷかぷか(12)(文学シリーズ短編その4) 終章(5) 叔母ちゃんはあん娘のことを、必ず、彼女と言った。 「彼女はこの歌がぴったりだと思うんだけど」と皆が昼飯を始めるころ、1枚のレコードジャケットと携帯用のプレーヤーを取り出した。見ると、唄歌いの大男の「踊り子ルイーズ」というレコードであった。レコードは、彼だけではな… トラックバック:0 コメント:0 2010年12月29日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(11)(文学シリーズ短編その4) 終章(4) ぷかぷか(11)(文学シリーズ短編その4) 終章(4) 叔母ちゃんが云った。謙虚で控えめな要望であった。私は、なんの異存もなかった。なにしろ私の知る限り、叔母ちゃんのこのよううな申し出は初めてのことであったからだ。 「もし、墓参りに行くのであれば、私も行きたいわ」 そうかと思った。中小企業のわが社も臨時休業を… トラックバック:0 コメント:0 2010年12月07日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(10)(文学シリーズ短編その4) 終章(3) ぷかぷか(10)(文学シリーズ短編その4) 終章(3) お兄ちゃんがN展に入選したのだった。国立美大の先生がN展の理事だという事を聞いたことはあった。また、最近の彼の様子が少し変であった。視線が宙に飛んでいることもあった。 テンペラ油の匂いがして頭の毛が逆立っている事が多かった。私は、集中して油絵を描いているなと感じて… トラックバック:0 コメント:0 2010年10月25日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(9)(文学シリーズ短編その4) 終章(2) ぷかぷか(9)(文学シリーズ短編その4) 終章(2) 「一緒に死ななくていいよ、ありがとう」、と今際のとき、奥さんは、あの大男に云ったそうだ。理由はよくわからないのだが、おそらく、優しそうな大男への想いと併せてか、その言葉を知って暫くしてから涙が出た。お局も一緒に泣いてくれた。勿論、奥さんのことなどは二人は知らなかった。 … トラックバック:0 コメント:0 2010年09月19日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(8)(文学シリーズ短編その4) 終章(1) ぷかぷか(8)(文学シリーズ短編その4) 終章(1) 東京の吉祥寺から帰った後は、当時、忙しく、お兄ちゃんと私とお局の三人で現場をこなしていて、時には、何か気になることもあったが構ってはいられなかった。叔母ちゃんも大阪や東京のなじみの工務店や左官屋などを手配し、芸術家の卵には、三人が指定したレプリカを作成させ、例によって、来店… トラックバック:0 コメント:0 2010年08月16日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(7)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(2) ぷかぷか(7)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(2) あん娘(こ)には何か欠けているものがあるのだ。すなわち、売れるとは、普遍的に人の心を捉えるものを持っているのかどうかなのだ。つまり、ポピュラリテイーを持っているのかどうかなのだ。選ばれた人々を納得さることも必要だが、併せて大衆を如何に掴かむかなのだ。… トラックバック:0 コメント:0 2010年07月19日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(6)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(1) ぷかぷか(6)(文学シリーズ短編その4) 第3章 東京の吉祥寺でのこと(1) 「さっきの唄はリリースしてるの」と聞いた。目を見開いて、あん娘(こ)は悲しそうに黙って頷いたのだった。それを見て、余り売れていないのだ、と私は考えた。 「上手いけど、時代にあってないよ。ブレイクはしないよ。」残酷だが、そう云った。当時の、… トラックバック:0 コメント:0 2010年07月15日 続きを読むread more
ぷかぷか(5)(文学シリーズ短編その4)第2章 事務所でのこと(3) ぷかぷか(5)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(3) 「あっ、それにあの娘(こ)から、事務所への差し入れもあったのよ」とお局が云った。見ると当時としては珍しい、ナポレオンのブランデーであった。それで叔母ちゃんの笑顔が理解できたのだ。 始めて、これも、当時としては珍しいバドワイザー… トラックバック:0 コメント:0 2010年07月10日 続きを読むread more
ぷかぷか(4)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(2) ぷかぷか(4)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(2) 私がクライアントの訪問から帰ると、お局が云った。 「あの娘(こ)、やって来たわ、事務所の中を勝手に歩きまわり、設計図などを引っぱりだし、面白い娘ね、これを残していったわ」と、私のスケッチブックを開いて示した。叔母ちゃんが、にやりと… トラックバック:0 コメント:2 2010年07月08日 続きを読むread more
ぷかぷか(3)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(1) ぷかぷか(3)(文学シリーズ短編その4) 第2章 事務所でのこと(1) 「どうしたの、余程、昨夜は頑張ったのね」とお局が、機嫌の悪いときにするのだが、私の顔を見ずに言うのだった。 彼女は、昨夜のクライアントの接待は知っている。お局はこの事務所の功労者でもあり、私は弱いのだ。彼女は私に、いつもとは違う何かを感じた… トラックバック:0 コメント:0 2010年07月04日 続きを読むread more
ぷかぷか(2)(文学シリーズ短編その4) ぷかぷか(2)(文学シリーズ短編その4) 序章 あの娘(むすめ)のこと(2) 「いつもパンティーは穿かないの」背広を小さなソファーセットの椅子に投げ捨てながら聞いた。娘はそれをを取り上げ、クローゼットの中に掛けた。クローゼットの扉の裏の鏡で髪の乱れを直しながら、 「あらいやだ、見えたのね」と言った。初… トラックバック:0 コメント:0 2010年06月22日 続きを読むread more
ああとにあつく!ぷかぷか(1)(文学シリーズ短編その4) ぷかぷか(1)(文学シリーズ短編その4) 序章 あの娘(むすめ)のこと(1) クライアントを接待して、機嫌よく酔っていたときの夜であった。クライアントの知ったクラブからの帰りで、チケットと共に彼をタクシーに押し込んだ後、ホテル街に迷い込んだ。そして、しゃがみ込んで煙草をすっているあの娘に出合ったのだ。 ブーツを… トラックバック:0 コメント:0 2010年06月19日 続きを読むread more
ああとにあつく! 林の中で(3)(文学シリーズ 短編その2) 林の中で(3)(文学シリーズ 短編その2) 第3章(転・結章) そして、若かった私が、母親に仮想していた、あの美しい婦人と同様に、今では、私も、初老の域に達した。私をデッサンに誘った友人は、再び、油絵を描いている。私はと言えば、描いていないのだ。写生会に誘われたが忙しいと断ったこともあった。 何故か、… トラックバック:0 コメント:0 2009年10月10日 続きを読むread more
ああとにあつく! 林の中で(2)(文学シリーズ 短編その2) 林の中で(2)(文学シリーズ 短編その2) 駅の改札口までの階段を駆け下り、4、5人を追い越した。 「さあ、明日は日曜日だ。帰りに油絵の道具を買おう」と考えていた。 絵の具、筆、それから、イーゼルとキャンバス、何号がどのくらいの大きさか解らない。店で見て、聞いたら良い、と考えた。 工場の門の手前で、「お父… トラックバック:0 コメント:0 2009年10月02日 続きを読むread more
ああとにあつく! 林の中で(1)(文学シリーズ 短編) 林の中で(1)(文学シリーズ 短編) 第1章 いつもの通勤風景の一つである。私は、電車の窓から、公園の例の場所が良く見えるように、足を踏み変えて、邪魔になっていた知らない乗客の肩を視線から除いた。 そのとき、斜め前に座っているいつもの上品な初老の夫人が、動かした私の足もとに視線を流したことも確認した。公園の… トラックバック:0 コメント:0 2009年09月15日 続きを読むread more
ああtろにあつく! 茂みの中で(3)(文学シリーズ 短編) 茂みの中で(3)(文学シリーズ 短編) その行為が終わったとき、彼女は、自身のパンテイーで、私のものをぬぐってくれたのだ。その後、私は、腰を浮かして、ズボンを引き上げた。 大人の男女の場合は、成り行きでこうなることも可能なのである。彼女は「不思議ね」と言ったが、互いに心を満たすものがあれば、それは可能なのだ。 … トラックバック:0 コメント:0 2009年08月01日 続きを読むread more
ああとであつく! 茂みの中で(2)(文学シリーズ 短編) 茂みの中で(2)(文学シリーズ 短編) 目くるめく官能の喜びの後だ。私は、腰部を丸出しにして上向きに横たわっており、彼女は私の横に、バラのようなフリルのある赤いブラウスを着て、白いギャザーの絹らしいスカートの中で、正座していた。 クローバーの褥であった。敷いた新聞紙の外には、カジュアルな赤のエナメルのパンプスが揃… トラックバック:0 コメント:0 2009年07月31日 続きを読むread more
ああとにあつく! 茂みの中で(1)(文学シリーズ 短編) 茂みの中で(1)(文学シリーズ 短編) 大阪城公園を二ヶ月に1回散策する。大阪城公園にはJR大阪駅から環状線に乗り、「大阪城公園駅」で下りれば、そのものだが、私は、次の、森ノ宮駅で降りる。 ついこの間まで、私もそうであったが、勤め人達の群れの間に紛れ込み、病院で検診を受けるため通うのだ。「大阪城公園駅」は公園の整備… トラックバック:0 コメント:0 2009年07月31日 続きを読むread more