老女パワーの昼カラ風景その1(文学シリーズ、ショート)

老女パワーの昼カラ風景その1(文学シリーズ、ショート)

 I駅からS山に向かって道なりにしばらく歩くと、右手にある昼カラの店がkである。ママは気風(きっぷ)が良く、少し、太っていた。また、店では歩く距離も少ないので気付かないが足が悪いと自身で話している。

 12月に入って早々だが人数限定の忘年会に我々男3人が誘われたのである。我々は仲間と共に今のところは、男ばかりだがS山の広場で月に一度の川柳の会を開き、帰りに昼カラに立ち寄っていたのである。

 私はと言えば、喉頭癌の手術をしていて歌を歌わないのだ。だが、会話の訓練の一環としてカラオケは推奨されていて、大会もあるのだが、そんな調子外れの歌を歌うのことは拒否しているのである。

 それで、有名な劇作家のKの愛人だと噂のあるMが大昔に歌った「ガード下の靴磨き」を誰かに歌って貰うのである。このことから、ママが招待してくれたのであろう。後の二人は気が合うのか二人は額をつき合わせていつもひそひそ話をし、歌うのが大好きだからママが3人だけを呼んだのであろう。

 ママの店は広くはない。壁際に4人座れるテーブル席が三つあり、左手の奥が小さなステージになっている。入り口を入って直ぐ左手になる。後の残りはカウンター席である。ステージ前の二つのテーブル席はステージ前に余裕を作るため合わされて8人席になっている。

 カウンター席は詰めると20人は座れる。勿論、作り付けの椅子付だ。従って、店には32人は入れるのである。通常はセット料金で簡単なつまみとワンンドリンクだが、それぞれカウンターとテーブル席には吸い物付の豪華な仕出し弁当がセットされていた。会費は6千円で飲み放題である。ビール、ウイスキー、焼酎に酒等はいくらでも飲んで良く、当然、歌い放題だ。

 それに、ママの趣向は、プロの歌手Kを読んでのステージショウ付というものだ。テレビで歌謡曲を時々見るが、未だ、Kはそこに出るだけのプロでは無さそうだ。どうやら、個人事務所のようで、若い陰気なお兄ちゃんが付け人をやっていた。

 しかし、驚いたことには、京都から正装した老女が8人も追っかけでやってきたのである。それに、我々3人は月に1度の客であり、プロの歌手Kと彼の追っかけ、ママとの関係などは知る由も無くい。それに、定刻にそろった招待客の全員を知っているわけでもない。男と言えば我々3人、付け人のお兄ちゃんと残り3人だけなのだ。

 (その1終わり、続きます。御機嫌よう。)

 

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック