ああとにあつく!愛しのクーちゃん(2)(文学シリーズ ショート(13)

 愛しのクーちゃん(2)(文学シリーズ ショート(13)

やはり、既に、二人は全裸でベッドに座り込んでいた。そして、私は、幸せなこの充実感をもっと濃密なものとするために、後から二人で「バスタブ」に入ろうと思っていた。

 私は何をしていたのだろうか、クーちゃんの座り込んだ肢体を眺め回してもいなっか。組んだ足の上から相変わらず陰毛は確かに見えていたのだが、その時、彼女のハミングが、「一番乗りをやるんだと・・シンガポールの街の朝」と軍歌で聞こえてきたのだ。

 「私のおじいちゃんは慶応ボーイよ、おばあちゃんはシンガポールに住んでいた中国人よ」クーちゃんは語った。慶応ボーイは椰子の木陰でいつも小説を読んでいたそうだ。二人は結婚し、届けも出したそうだ。私の不審がる素振りを察してクーちゃんは再び云った。

 「確か、大東亜共栄圏でしょ?、中隊長さん?、は喜んでくれたそうよ」暫くしてポツリといった。「戦死してしまったのよ、一人息子の父は横浜に居るの、私の弟は立派に成長しているわ」と聞きもしていないのに云った。

 私は、そうか隊付きの将校だったのだな、とクーちゃんのおじいちゃんを理解したのだ。小笠原群島での話しだが、私の父親が知り合った将校も、風とおしの良い橋の下でいつも文学を読んでいたそうだ。

 <戦友の遺骨を抱いて ~どなたかありがとうございます~ >
  http://www.youtube.com/watch?v=qv42AWjqhW0&NR=1

 <軍隊小唄(可愛いスーちゃん(豊川ヒロシ))  ~どなたかありがとうございます~ >
   http://www.youtube.com/watch?v=okLEMxuE1TM&feature=related

  作詞作曲者不詳 昭和十九年頃
一、
嫌じゃありませんか軍隊は 金のお椀に竹の箸
仏様でもあるまいに 一膳メシとは情けなや

二、
腰の軍刀にすがりつき つれて行きゃんせどこまでも
つれて行くのはやすけれど 女は乗せない輸送船

三、
女乗せない船ならば 緑の黒髪ぶち切って
男姿に身をやつし ついていきますどこまでも

四、
七つ釦を脱ぎ捨てて 粋なマフラーの特攻服
飛行機枕に見る夢は かわいいスーちゃんの泣きボクロ

*上はクーちゃんから私が連想した軍歌です。

 その後で、クーちゃんと二人向き合ってバスタブに浸った。そして、クーちゃんは云った。「私、もう40よ、初代のパート世代と云ってもいいかも知れないわ、よかったら電話してね」と携帯の電話番号を渡してくれた。
 大東亜戦争は終わって久しいが、私は、その時、ベットの上での得もいわれぬ充実した幸せな気分を未だ未だ味わっていたかったのだ。
 
 (終わり)

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