ああとにあつく!日本は破滅する(2)(文学シリーズ ショート(11))

 日本は破滅する(2)(文学シリーズ ショート(11))

  ワシは自分の宿泊所に帰って、テレビを点けると気楽な万年床にもぐりこんだ。ここには必要最低限のものがある。贅沢とも云って良い。お湯の出るシャワーや個別のトイレもある。小さな冷蔵庫も買ってある。炊事しようと思えば各階に小さな炊事場もある。包丁だって買ってある。

 この生活で少し物足りないのは、契りを交わしていた女房には逃げ出されて久しいものがあることだ。その後、このアパートにたどり着いて、今のところ、何とか首も吊らずに耐えている。2、3人の話し相手は居るには居るが、女房に逃げられて以来、確かな世間との繋がりは途絶えて、死んでもいいやと時々絶望的になるのである。

 毛沢東や周恩来やインドのネールや、大昔の聖のように清貧なイメージがあれば、共産主義などの思想は兎も角、少しぐらい寂しくても、偉い大先生に人々はついていくだろう。遠くにかすかに灯っている小さなその明かりが命の糸をつないでくれるだろう。リビアでの大統領は海外に資産を溜め込んでいたのだから、周囲の特権階級も同様であろう。

 そんなリビアで野菜売りの青年が焼身自殺した絶望は、当然の話だ。リビアや北アフリカで焼身自殺が続いたことも理解できるのだ。そして、アメリカの大統領のオバマは、富の偏在を許さない、と語った。大した大統領だ。

 死刑を求刑されたKは、拘置所の中で絶望から立ち直り、自分の命が大事になっているのであろうか。昔、何人も人を殺したNと言う少年も居たが、彼は絶望のまま処刑された筈である。

 結論として、ワシが考えることは、人間が生きていく三つの条件を失い、Kは絶望したのだ、と思う。食うことについては何んの問題もなく、性欲にしても風俗で満たされた筈だ。最後の条件の家庭や社会とのつながりは、派遣社員として働く仲間からも阻害され続け、唯一の社会とのつながりのブログを荒らされ、ぷつりと糸が切れ、絶望の淵に転がり込んだのだ。

 派遣社会では、死刑になるために人間を殺し捲くる絶望が続発することは必然だ。

 今、ニュースでは、これからもイギリスの首相は財政を切り詰め、アメリカの長官はドルを印刷して金融を緩和するそうだ。イギリスは少しだけ景気がダウンし、アメリカは少し景気がアップしたそうだ。アメリカ国内にドルが出回れば景気が少しぐらいアップすることはワシでも理解できる。

 貿易赤字もあるというのに、こんななことで景気がアップしても問題の解決にはならない。また、馬鹿な話だが、アメリカ国債はAAAと言う話だ。これこそ茶番ではないか。
 
 このニュースを聞いて、素人のワシにひらめいたことがある。派遣社会をつくったK元総理やT教授は、承知で作ったのだと。イギリスとアメリカの中間策として労働者を分断し、孤立する労働者の大群を作ってしまったのだ。彼等の連帯を奪ってしまったのだ。

 社長連中も労働組合の幹部連中もそのことに知らぬ顔で、と言うよりは政府に要求したのである。なんと、利己の人種であろうか。能力が優れているわけでもなく、たまたまの偶然や、親の熱心な力でそうなったに過ぎないのに、富は偏在して当然だと考えているのである。

 エジプトでも大荒れだとテレビが告げている。さて、日本でも派遣の若者達よ、そろそろ立ち上がってもいい頃だ。時給1,000円や取り合えずの製造業への派遣禁止の法案が通らないようであれば、リビアやエジプトの若者のように街頭に繰り出さねばならない、とそうワシは考えた。

 そうなったら、ワシも一暴れしようと考えていると、絶望ならぬ安逸の淵の中に転げ込んだのだ。

 (終わり)

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