ああとにあつく!不条理のこと(文学シリーズ ショート(8))

 不条理のこと(文学シリーズ ショート(8))

 ある政治家が、ある内閣のとき、大臣としては更迭されることがなく、引き続き別の分野の大臣に任命されたのです。そして、会見で、その大臣は「不条理であると」と語り大臣を囲んでいた新聞記者などの笑いを誘いました。

 その大臣は、反対党であった新しく任命された大臣と、同じ選挙区で勝ったり負けたりの間柄だったのです。不条理と言うその言葉がテレビから放映されたのであるが、私は記者たちの笑いの意味がよくわからなかったのです。

 勿論、そのような任命をしたのは、ある政治家と同じ党に所属する総理大臣なのです。そして、総理大臣の任免権は、どうも、絶対のようなのです。

 私にとって不条理と言う言葉は馴染みのある懐かしい言葉でした。なんとなくわかっているようなつもりでいたのですが、あれっつ、どういう意味であったのだろうとかと、喉もとの少し奥の右だか左だか解からないところに、その言葉が、引っかかってしまたのです。

 そして、思い出したのはフランス人の作家のカミュが異邦人で書いたムルソーと言う主人公のことでした。もう随分昔の話で、その文学の事はよく覚えてはいないのですが、兎に角、アルジェと言うところに住む青年が、何の云われもなく、太陽が輝いていたことを理由にアラブ人の青年を殺してしまう話しであったと思います。

 私は、きらめく太陽やその光、アルジェの物憂い海、それにさんざめく浜辺や町並み、物憂くじわっと包み込む空気、それに、彼は、本当は愛しているらしいママンのことや恋人の事などをおぼろげに思い起こし、そして、殺人については死刑になるのですが、そんなぼやっとした雰囲気から、不条理と言う言葉を解かっているような気がしていたのです。

 翌日の新聞には、総理大臣の任命をいたずらに揶揄する不条理と言う大きな文字が躍り、二人の大臣のその後の発言も報道されました。産経と云う新聞では、記者の署名入りですが、このような任命はめちゃめちゃな事で単なる政局のための人気取りの任命だ、不条理という言葉をそのように解釈したようなのです。

 文字を扱う新聞記者さんとしては、非常に貧しいというか、意図的とも取れる解釈ではないでしょうか。署名記事ですからある意図があっても良いのですが、そうであるならば、総理が任命した理由や二人が同じ選挙区でその後も選挙を続けるのかなどの点をしっかりと押さえて、それらの事を対比させて記事を書くべきではないでしょうか。

 単に面白おかしく囃し立てるような記事は書くべきではないと思うのですが、如何でしょうか。政治をますます、貶めてしまうことに繋がるのではないでしようか。

 ただ、見出しは記事とは違う人が付けるようですので、記事そのものとは違った雰囲気に様変わりすることもよくあるようですから、記者さんだけを攻めることは酷なことであるかもしれませんが、兎に角、新聞報道のその後の二人の大臣を発言を紹介しておきます。

 不条理発言をした大臣は、同じ内閣の一員として心を一つにして国民のために頑張る、などと語り、新しく任命された大臣は、びっくりしたのでしょう、人生はまったく予測不可能だ、などと語っているのです。

 私の理解は昔フランスではやった哲学用語でもっと広いような気がするのですが、しいて、言い換えれば、絶対的矛盾の存在状態などの言葉が浮かんでくるのです。

 兎も角、これからは、不条理と言う言葉を使った大臣が言っているように、折角、一つの内閣で二人揃って仕事をするのですから絶対的矛盾の存在状態を解消して仲良く仕事をして欲しいと考えるのです。

 (おわり)

 

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